「向島スタディーズ」(学生論文発表会)2010年〜2014年度の活動
向島学会では、防災や都市再生について研究する大学の学部生や大学院生に、地域でのリサーチに関して様々な協力を行って来ました。それらの研究の蓄積はかなりの量に上ります。そもそも向島学会が生まれた理由のひとつには、こうした若い研究者の新鮮な視点を、もっと地域のまちづくりに還元しようという目的がありました。当初構想していたのは「論文アーカイブ」のようなアイデアでしたが、とはいえ、事務局拠点を持たない向島学会には少々難しい課題。まずは出来ることからと、不定期に学生の研究成果の報告会を開いて来ました。
その後2009年に「墨東まち見世」をスタートしてから、地域のアートプロジェクトにテーマを絞った研究を行う学生も次第に増えて来たことも手伝い、2010年の春より、向島のまちづくりやアートを研究する学生を主な対象に、本格的な論文発表会として「向島スタディーズ」を毎年定期開催することになりました。論文発表会の聞き手は、向島学会のメンバーや地域住民が中心ですから、大学のゼミでの発表会とは全然雰囲気が異なります。地域住民にとっては、ウンウンとうなづいたり、時には鋭い指摘にハッとさせられたりしながら、毎回新たな刺激と自分の地域への気づきを得る場として、そして学生にとっては、自らの研究について、まちの人の意見や感想を直接聞くことのできる場として、それぞれ意味深い機会となっています。
「向島スタディーズ」はしばしば「交流サロン」と同時に開催され、当日は学生発表以外に、向島学会の理事などから、地域に関する多様な活動報告があるのも特色です。
向島スタディーズ2010
- 日時:2010年3月28日(日)14:00-18:00
- 会場:ユートリヤ すみだ生涯学習センター3F 視聴覚室
- 参加費(資料代含む)一般1000円、学生500円
プログラム
■PART1 福祉 / 戦災復興 / 密集市街地再生
- 東京・インナーエリアにおける自立支援施設の立地場所に関する研究:渡邊享子(お茶の水女子大学文教育学部 人文科学科地理学コース)
- 全国の戦災復興都市計画における計画標準の運用:藤賀雅人(明治大学大学院新領域創造専攻)
- 木造密集市街地における住環境改善手法の検討と市民組織による事業化に向けたまちづくり活動の展開プロセスに関する研究:飯島縁(東京工業大学大学院 社会工学専攻)
■PART2 アートプロジェクト / コミュニティ
- アートプロジェクトから派生した活動の要因と意義に関する研究:荒川佳大(東京工業大学工学部 社会工学科)
- 変貌する下町と地域振興策としてのアート――東京墨田区・向島地区の事例から:金善美(キム・ソンミ)(一橋大学社会学 研究科 )
- 「個」が活きる多様な地域社会へ ―まちづくりは「場」づくり― :高橋尚子(早稲田大学大学院公共経営研究科)
■PART3 「墨東まち見世2009」をめぐって
- 「墨東まち見世2009」の生み出したもの―質的統合法による成果検証レポート― :石田喜美(財団法人東京都歴史文化財団 東京文化発信プロジェクト室 地域文化交流担当)
- 座談会「新しい拠点と継続するプロジェクト」
■PART4 バレンシア報告 / 向島学会活動報告 / その他
- 向島フィールドワーク報告:東京都市大学 岡部研究室
- 都市計画道路整備に係るスペイン・エルカバニャル地区の住宅と街並みの現状と課題:高岡哲之・石川周平・藤賀雅人・青柳晴徳・山本敏哉(明治大学理工学部 )
- 住まい・まちづくり担い手事業報告;地域の中で支え合う住まい方づくりに向けて:藤野雅統・大崎元・岡田昭人・長谷川栄子(向島学会理事)
向島スタディーズ2011
- 日時:2011年4月24日(日)15:00-17:00
- 会場:一寺言問集会所(墨田区東向島1-38-11)
- 参加費(資料代含む):一般 ¥1,000、学生 ¥500
プログラム
■東日本大震災の被害状況
- 向島における被害状況:大崎元(匠屋)
- 陸前高田市と旭市等の被災地状況報告:山本俊哉(明治大学)・藤賀雅人(同)
■向島スタディーズ2011
- 白鬚東防災拠点の事業経緯:加賀誠(明治大学大学院理工学研究科)
- 木造密集市街地におけるアートプロジェクトに呼応した多様な主体による取り組みの地域的意義に関する研究:市川真弓(東京工業大学大学院社会理工学研究科)※当日病気のため不参加
- 「墨東まち見世」事務局におけるメンバーシップの形成 中島和成(東京都市大学環境情報学部)
- 「GTSのタワークラブ報告」東京芸術大学建築学科大学院有志
■交流サロン
- 全国路地サミットinすみだの企画:佐原滋元(同実行委員長)
- 日独交流150周年関連企画について:山本俊哉(明治大学)
- オッテンゼンとの交流シンポジウムおよびドレスデン学生ワークショップ:同意見交換「東日本大震災に係る復興に向島学会はどう関わるか」
- ハンブルクからの支援提案について:山本俊哉・嘉藤笑子
向島スタディーズ2012・学生論文発表会+交流のサロン
- 日時:2012年3月31日(土)14:30~17:00(開場14:00)
- 会場:現代美術製作所(墨田区墨田1-15-3)
- 参加費(資料代含む):一般1000円、学生500円
プログラム
■ごあいさつ / 進行説明
向島学会理事長 高木新太郎
司会 真野洋介(向島学会理事 / 東京工業大学 准教授)
■第1部 向島スタディーズ
-
発表者:
高木薫(明治大学大学院理工学研究科 博士前期課程2年)
井上拓哉(早稲田大学理工学部佐藤滋研究室 修士3年 )
及川裕子(お茶の水女子大学 修士1年) - 講評:山本俊哉(向島学会理事 / 明治大学理工学部 教授)ほか
■第2部 交流サロン
- 全国路地サミットinすみだ報告:佐原滋元
- 一言会路地懇談会の活動について:野田明宏(向島学会理事)、野村美里(東京工業大学)
- 小村井の新しいスペース「float」について:筒井佳樹、吉川晃司(float)
- 墨東まち見世2012・100日プロジェクト報告:墨東まち見世事務局 ヨネザワエリカ
- その他
■ごあいさつ
向島学会副理事長 佐原滋元
向島スタディーズ・学生論文発表会 2013 + 交流サロン
- 日時:2013年3月31日(日) 14:00-17:00
- 会場:一寺言問集会所 (墨田区東向島一丁目20番6号)
- 参加費(資料代含む):一般1000円、学生500円
プログラム
■ ごあいさつ 向島学会理事長 佐原滋元
■ 学生発表(発表7分・講評8分)
PART1 設計
- 付喪神の宿るまち、向島:小嶋裕之(明治大学建築学科 学部4年)
- 学校が紡ぐまち:林颯生(明治大学建築学科 学部4年)
PART2 論文
- 墨東地域におけるアートプロジェクトと地域内の日頃の活動の相互関係:野村美里(東京工業大学社会工学専攻 修士2年)
- 都市空間とアート -東京文化発信プロジェクトを事例に- :及川祐子(お茶の水女子大学ジェンダー社会科学専攻 修士2年)
講評:山本俊哉(向島学会理事 / 明治大学理工学部 教授)ほか
■交流サロン
- 「墨東まち見世編集部」活動報告:高橋りほ(墨東まち見世編集部)
- 鐘ケ淵プロジェクト:佐原滋元 鳩の街の活動報告:大崎元
- 向島空き家調査:野田明宏 その他報告と次年度の活動報告
- 総評と閉会のごあいさつ
向島スタディーズ・学生論文発表会 2014 + 交流サロン
- 日時:2014年3月30日(日) 15:00-17:00
- 会場:一寺言問集会所(墨田区東向島一丁目20番6号)
- 参加費(資料代含む):一般500円、学生300円
プログラム
■ごあいさつ:向島学会理事長 佐原滋元
■向島スタディーズ (発表7分・講評8分)
- アートプロジェクトにおけるNPO法人の役割に関する考察―NPO法人向島学会を事例として―:髙橋りほ(筑波大学大学院人間総合科学研究科芸術専攻芸術支援領域 博士前期課程)
- 地域における文化活動拠点の評価に関する研究ー墨東エリアにおけるアートプロジェクトを対象としてー:長尾芽生(日本大学大学院理工学研究科建築学専攻 博士課程前期)
- 自然発生的に形成された文化集積地の特性に関する研究:アートスペースの特性と地域環境の関係から:李承珉(東京大学工学系研究科都市工学専攻 博士課程)
- 全体講評:大崎元・藤賀雅人(向島学会理事)ほか
■交流サロン まち見世アートプラットフォーム活動報告
- 墨田区文化情報サイト事業報告
- 寺島プロジェクト活動報告
- 鳩の街商店街のコラボレーション事業報告
- その他報告と次年度の活動報告(ハンブルクとの交流活動/大阪・神戸との交流イベント報告ほか)
- 総評と閉会のごあいさつ
※【向島スタディーズ・学生論文発表会 2015+ 交流サロン】については、ブログの記事を参照ください。