活動紹介 : アーカイブ部会 | 2015/02/20

「あなたのまちの歴史を探る」
~向島地域を舞台とした実践~

向島学会の「アーカイブ部会」での実践報告をさせていただきます。

私どもは、平成24年度、すみだのまち発祥の地とも言える、鐘ヶ淵地域(旧隅田町)を探る「みち(道・未知)との遭遇」と題した事業に取り組みました。平成25年度は、鐘ヶ淵地域に隣接する、旧寺島町地域を探る「寺島のまち歴史掘り起こし隊」と題した事業です。平成26年度は、旧吾嬬町地域の歴史を探る事業を展開中です。いずれの事業も、墨田区で新しくできた、「すみだの力応援基金」という助成事業を使わせていただき実現できました。

「みち(道・未知)との遭遇」は、鐘ヶ淵地域に現存する、古代にできた「古代の官道」、鎌倉時代にできた「鎌倉街道下の道」、江戸時代にできた「墨堤通り」、大正時代にできた「鐘ヶ淵通り」の4本の道を、時代の流れを整理する手がかりとして、各々の時代の由緒が残る場所を訪ね、その時代の鐘ヶ淵地域をイメージしていただこうという趣旨です。

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みち(道・未知)との遭遇」における子どもとのまち歩きの様子

当初は、集まった子供達が4グループに分かれ、各々のコースを巡る予定でしたが、あいにくの雨と寒さで、まち歩きを断念し、視聴覚室で現地写真を見ながら、図版を使った解説の「バーチャルまち歩き」となりました。

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バーチャルまち歩きの様子

二月には「まとめの会」として、大人も含め、目白大学の鈴木章生教授に「江戸の文化と隅田川」と題したご講演の後、参加者も含め、思い出話や、まちの歴史を子供達に伝える意味などを討論しました。事業の成果として、誰でもが、まちの歴史の解説ができることを願い、各々のコースの「解説紙芝居」を作成しました。

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「まとめの会」の様子

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紙芝居の扉

「寺島のまち歴史掘り起こし隊」は、旧寺島の町内を、5地域に分け、様々な形でまちに残された歴史の断片を探し出そうという趣旨です。
延べ参加者八六人が、合計十時間以上かけて、まちの隅々まで歩きました。

tera_1.jpg 「寺島のまち歴史掘り起こし隊」における
「道に埋まる石臼」
なぜか道の中に石臼が。向島で多い、私有地を道路に提供した証しの残渣。

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「元寺島図書館」
寺島村の人達が初めて作った寺島小学校の場所。府立七中(現墨田川高校)の最初の授業が行われた場所。昭和天皇即位記念事業としてまちの人達は図書館を作った。

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「真光寺」
まちの中に残る墓所。蓮花寺の末寺、長浦神社の別当。隣のこども広場には本堂があった。

「まち歩き報告会」では、そのまち歩きの様子をスライドショーにしてご紹介し、、文化財調査員の松島先生から、寺島の歴史を探るためのさまざまな資料とその利用方法を教えていただきました。その後、参加者による座談会で、歴史の中の寺島を語り合いました。

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報告会の様子

最期に、これらの成果を、皆さんにも体験していただこうと、寺島地域の歴史的なエピソードを整理したリーフレットを作りました。

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リーフレット

私たちは、まちの一人一人の営みがまちの歴史を作り、まちの文化を育んでいくのだと考えています。歴史をふまえないまちづくりは、ともするとまちの文化を破壊することにもつながります。
そのためにも、ぜひ、住民の一人一人が、過去のまちの歴史を探り、すみだの豊かな未来のために活かしていただきたいと願い、その支援をさせていただこうと活動を進めています。