向島学会とは
NPO法人向島学会は、東京の下町・向島エリアの個性ある街並みや産業、コミュニティに息づく新旧の文化など、地域資源の持つ魅力を大切に活かしながら、活気がみなぎる暮らしやすいまちをつくることを目標として、2002年に活動をスタートしました。地域住民、まちづくりの専門家、アート関係者、学生等多様なメンバーが参加しています。
向島学会では、向島エリアのまちづくりにおける「プラットフォーム」として、(1)地域資源の情報収集および提供事業、(2)地域活性化活動の支援事業、(3)住まい・まちづくりに関する調査研究事業、(4)アートとまちに関する講座およびイベント事業、(5)海外もふくむ様々な市民団体との交流事業といった幅広い活動に取り組んでいます。
向島学会のあゆみ
向島では1980年前後から、木造密集市街地の防災や建て替え事業、雨水利用、ドイツ・ハンブルク市との国際交流事業など、地域住民の積極的な参加による、多様な活動がまちなかで行われて来ました。それらの活動に関わるメンバーが次第につながり、「国際デザインワークショップ」(1998)、「向島ネットワーク」、「向島博覧会2000」(2000)、「アートロジィ向島博覧会2001」(2001)といった、まちづくりとアートの大きなイベントが、2000年を挟んで連続的に開催されました。
これらのイベントをきっかけに、その当時向島で問題になっていた空き家・空き工場に若いクリエーターが注目し、アトリエに改装して転入する動きが始まります。それとともに、路地や木造密集市街地という、従来防災面でマイナスの側面ばかりが語られて来た向島が、そこに住まう住民にとっても、他にない豊かな個性を持つまちとして自覚されるようになりました。そして、これらのイベントに関わったメンバーを核として、2002年に向島学会が任意団体として誕生しました。
その後、東京メトロ半蔵門線の東武線との乗り入れや、地域内でのマンションの増加などに伴い、新しい住民が徐々にまちに増える中、従来の木造密集市街地や路地を越えた、新たな防災意識やまちづくりのあり方が求められるようになりました。向島学会では、こうした変化に対応するため組織的な充実を図り、2006年に東京都からNPO法人の認証を受け、新たな活動のスタートを切ることになりました。
2012年の東京スカイツリーの完成、現在も進む東武・京成曳舟駅周辺の再開発などが進む一方で、向島では様々なアート拠点やまちづくりの担い手が次々に登場し、路地や木造密集市街地の中で育まれて来たコミュニティのあり方に学びながら、持続的かつ多文化共生を意識した、新たなライフスタイルを模索する動きも始まっています。都市化する現実をふまえつつ、向島らしさを活かした住民主導のまちづくりに向けて、プラットフォームとしての向島学会の担う課題は、今後ますます大きなものになると考えています。